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詩文集『不/見』
¥2,000
葦田不見の第一詩文集です。2018年12月出版。手製のブックカバーをお付けして、お送りいたします。ブックカバーはひとつひとつ手作業で紙を切って、折って、重ねる、という作業を経て作っていますので、それぞれ微妙に異なっています。それは、わたしたちの身体が、制作が、あるいはその際生まれる裂傷が、どれも異なるのだ、という本書のコンセプトとも通じ合うものです。ご理解ください。 また、ブックカバーに用いていますトレーシングペーパーとは、tracing、traceする「なぞる紙」であり、あなたがこの一冊の本を読む過程をも、なぞるようにして読んでほしい、という願いが込められています。 表紙絵:airi maeyama氏
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《ひとと ひとと ひとの あい間 ゆ間にすむ》図録
¥2,000
大阪・中崎町のイロリムラにて行われました、airi maeyamaと葦田不見による絵と詩の二人展 《ひとと ひとと ひとの あい間 ゆ間にすむ》(2020.3.18-3.23)の図録です。 12組の絵と詩が収録されています。15cm四方で、原寸サイズです。全24ページ。 見開き左ページに葦田不見の詩が、右ページにairi maeyama氏の絵が配置されています。 以下、展示のコンセプトです。 画家・airi maeyamaと詩人・葦田不見は、異なる12種類の紙にそれぞれが絵と詩を描き/書き、そこから神経衰弱のようにして12ペアを作りました。それは、偶然性の入り込む余地をあえて設けるということです。線とは、何かを隔てるものである一方で、何かを結びつけるものでもあります。私たちが常識として扱っているものも、はじめは偶然結ばれたものであって、何度もなぞり直しているうちに、それが「当然のもの」になってきたのでしょう。人が通ったところから土が踏み固められていって「道」になるのです。夜空に浮かぶ星座たちも、かつてはただの白点の集合でした。 では、そんな常識をもう一度、偶然の渦の中に放り込んでみてはどうだろうか。いつもとは違う点と点を結んでみてはどうだろうか。そんな思いで、私たちはあえてテーマも決めず、12枚の絵と詩を突き合わせました。そこには、いかにも似つかわしいような照応関係を見出だせるものもあれば、歪に見えるものもあるでしょう。でも、そこに何かしらの関係、あるいは非関係をあなたが見出だしてくれたこと、それがとても貴いことだと思うのです。ただの白点を結び、それをオリオン座と呼んだひとがたしかにこの地にいたのです。 「ひとと ひとと ひとの あい間 ゆ間にすむ」。「わたし」というひとがいる。「あなた」というひとがいる。そして、そのあいまに棲まうひとがいる。「わたし」は乾いて固まった一つの塊ではない。「わたし」は私でありながら、私ならざるものでもあり、でも、私ならざるものでしかないのでもない。「わたし」はあいまにいる。「あなた」が見出だしてくれた「あいま」、そこはおそらく「わたし」が刹那の偶然にすぎないことを、でもだからこそ切なくいとおしいものだということを知ることのできる地点ではないでしょうか。必然、とは、確と掴みなおされた偶然の謂いではないでしょうか。